東京高等裁判所 平成8年(ネ)4494号・平8年(ネ)4604号 判決
民法四六〇条の規定に基づき保証人が主たる債務者に対してあらかじめする求償権の行使に対しては、主たる債務者は同法四六一条一項の規定により保証人に対して担保を提供させる権利を有し、右担保の提供があるまで求償に応じることを拒絶することができるものというべきである。この点については、事前求償義務は担保提供義務に対して先履行の関係にあるとの見解もあり得るが、主たる債務者が事前求償に応じた後に保証人に担保提供を求めても保証人がこれに応じないような場合には、主たる債務者が二重払をしなければならない事態も生じ得ることをも考慮し、主たる債務者を保護しようとする同条の立法趣旨に照らすと、これを採ることはできないというべきである。
(石井健吾 星野雅紀 杉原則彦)